2009年7月26日日曜日

デンマーク デザインの国

図書館でこの本を見かけ、読んでみました。

デンマーク デザインの国―豊かな暮らしを創る人と造形デンマーク デザインの国―豊かな暮らしを創る人と造形
(2003/09)
島崎 信

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デンマークのデザインについて、建築を中心に年代を追って解説したものです。著者はデンマーク王立芸術アカデミー建築科などを卒業しており、北欧の建築や文化に精通しています。本書も、各建築家についてかなり突っ込んだ説明がなされています。でも、専門用語はさほど登場せず、建築の初心者でも面白く読むことができました。私の印象としては、デンマークのデザインの歴史を知るための、良い入門書です。

本書で驚いたのは、1950年代のデンマークの住宅が日本の影響を受けていたということです。戦後、GHQが日本に軍宿舎を建てる際、日本の建築様式を取り入れました。その後、日本から帰国した建築家は、米国西海岸の住宅にジャパニーズ・スタイルを持ち込みました。デンマークの建築家は米国の建築を学ぶことによって、間接的に日本の影響を受けたそうです。Poul Kjærholm(ポール・ケアホルム)邸には、それが顕著に表れているとか。

また、Alvar Aalto(アルヴァ・アールト)がデザインしたNordjyllands Kunstmuseum(北ユトランド美術館)も取り上げられていました。Aaltoはフィンランド人ですが、美術館はデンマークにあるからです。その写真を見ると、外観は直線的で一見無機質です。でも、内部の設計は見事で、天井の採光窓は、自然光でも照明を点灯した時も同じような効果が得られるよう、複雑な曲線を描いています。

建築物の背景を知ると、俄然観光が楽しくなります。本書はガイドブックではありませんが、旅行に持って行きたいと思います。

そうそう、些細なことですが、GEORG JENSENが日本で「ジョージ・ジェンセン」と標記される理由がわかりました。デンマーク語では、「J」は英語の「Y」に近い音で発音するようです。そのため、本来ならJENSENは「イェンセン」と発音されるはずで、不思議に思っていました。
本書によると、GEORG JENSENは1940年代にニューヨーク5番街に出店し、米国で爆発的にヒットしたそうです。それで、デンマークでも再評価されたとか。ここからは推測ですが、GEORG JENSENは米国経由で日本に広まったため、米国読みで発音されているのかもしれません。

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